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しゃんしゃん祭とは。鳥取市の夏の風物詩となった由来や日程について解説
毎年お盆の時期に鳥取駅前中心市街地で開催される「鳥取しゃんしゃん祭」。2024年は第60回記念祭となります。
一斉傘踊りとして全国的に知名度が上がりつつありますが、その由来やどうして傘踊りなのかは、地元に暮らしていても意外と知らないものではないでしょうか。
そこで、今回はしゃんしゃん祭とはどうして始まったのか、傘踊りとは何かについて、再診の振付や当日の日程と合わせて紹介します。
お祭りに参加される方、観客として観覧する予定の方はぜひ参考にしてください。
鳥取しゃんしゃん祭の始まり
昭和36年に鳥取中心市街地の振興を目的に始まった「鳥取祭」に、市民が気軽に参加するための出し物として「因幡の傘踊り」をアレンジした踊りが加わったものが現在に繋がるしゃんしゃん祭りの原型です。
昭和39年の新市庁舎落成を記念して「きなんせ節」が傘踊りの正式振り付けとして採用され、昭和40年の公募を経て「しゃんしゃん祭」という名称が決まり、現在に至っています。
お祭り中もっとも目を引くのが、鈴の着いた色鮮やかな傘です。赤、白、青、金銀と塗り分けられた模様には、それぞれ地域振興のための意味と願いが込められています
- 最外周の赤と白…鳥取砂丘
- 青い円の中の白い菱形…日本海に魚が跳ねる様子
- 中心の金色と銀色…市内が栄え賑わうようにとの祈願
しゃんしゃん祭りで使われる傘は誰でも扱いやすいよう、本来の傘踊りで使われるものよりも直径が小さく、柄も短く軽くなっています。
しかし、傘を回転させたり切り返したりするためには手首のスナップを上手く効かせなくてはいけません。そのため、華やかななかにも切れ味鋭い振り付けが楽しめるお祭り踊りとなっています。
因幡の傘踊りとは
鳥取市国府町と鳥取市横枕にそれぞれ起源説話が残っている、鳥取市の伝統芸能です。鳥取県の無形民俗文化財にも登録されています。
現在のしゃんしゃん祭で踊られる傘踊りとの違いは以下の通りです。
- 傘の直径が大きく柄も長い、子どもが扱うのは難しい
- 民謡や太鼓、笛などに合わせて数人で踊る
- 「義士装束」と呼ばれる揃いの衣装が用いられる
- 緩急をつけたダイナミックな振り付けが特徴
振り付けの基本はしゃんしゃん祭りのためにアレンジされたものと大きな違いはありません。ただ、傘の大きさ、鈴の数、柄の長さの違いによって、しゃんしゃん祭りよりも気迫のこもった踊りがみられることが魅力です。
発祥は明治期で、当時は地域の娯楽が少なかったことから賭博に耽る若者が多かったそうです。これを改善し、健全に楽しめる祭りを作れないか、という目的で考案されたとのことです。
2024年現在では保存会の尽力により、島根県や北海道など全国約30か所に愛好家団体ができるまでとなっています。
しゃんしゃん祭り4大振り付け解説
2024年現在では、しゃんしゃん祭の傘踊りは4つの振り付けを中心に行われています。
それぞれの特徴について解説します。加えて、傘を使わないより簡単な踊りとして考案されたすずっこについても解説しましょう。
きなんせ節
もっとも古くからある振り付けで、鳥取傘踊りの基本型を忠実に受け継いでいます。
鳥取市周辺在住の多くの方が、傘踊りといったらこの振り付け、と感じるのではないでしょうか。
「キナンセ キナンセ 踊りゃんせ」のサビで有名な歌詞の中には、「温泉」「樗谷」「多鯰ヶ池」など周辺の名勝を紹介している箇所もあります。
踊りの鑑賞とともに、お囃子の歌詞にも耳を澄ませてみてください。
詳しい振付はこちらを参考に。
鳥取しゃんしゃん傘踊り
昭和45年に三波春夫氏による歌に合わせて新しく踊られるようになった2つ目の振り付けです。
きなんせ節よりも曲調が重く、動きもゆったりしています。きなんせ節は傘を横にして回す動きが中心なのに対し、こちらは傘を縦にして回す回数が多い点にも違いがあります。
平成鳥取音頭
行進しながら踊ることを前提にした振り付けです。リズムはきなんせ節よりはやく、雰囲気も更に明るくなっています。
きなんせ節の横に回す振り付け、鳥取しゃんしゃん傘踊りの縦にして回す振り付けを上手く取り入れ、軽快でテンポの良い踊りであることが魅力です。
平成鳥取音頭の音楽が流れ始めると、お祭りも最高潮といった雰囲気になります。汗をかきながら全力で踊る参加者の方に、ぜひ声援を送ってください。
詳しい振付はこちらを参考に。
しゃんしゃんシャングリラ
平成15年に、若年層のお祭りへの参入を目的に全国から新曲案を募って採用された新しい楽曲です。歌詞がすべて鳥取弁で書かれていることも、他の振付とは異なるユニークさを生んでいます。
こちらは創作踊りとなっており、各連が独自の振り付けで踊ることができます。そのためもっともパフォーマンス性が高く、しゃんしゃん祭り以外でも各地のイベントやステージ演目で披露される機会が多いことが特徴です。
すずっこ踊り
傘踊りに使う傘はすべて手作りで一般の方の入手が困難なこと、傘という形が振り付けの自由度をどうしても制限してしまうこと、これらの課題を解決するために考案された新しい踊りの道具です。
ヘラ状の本体に鈴が6個取り付けてあり、握って振るとしゃんしゃんと爽やかな音色が響きます。
こちらも創作踊りとして踊ることができ、衣装の袖を大きく振りながら豪快にステップを踏む踊り手の姿は迫力があって魅力的です。
当日日程と交通規制の注意点
第60回鳥取しゃんしゃん祭は、2024年8月13日の18時から前夜祭が開催され、メインステージの鳥取駅前風紋広場で式典や各種踊りのパフォーマンスなどが行われます。
翌14日の17時30分からは、中心市街地での踊り子の練り歩き、一斉傘踊りが始まります。こちらは祭りの呼び物の一つとして人気です。
そして15日最終日、納涼花火大会としてお盆の送り火の意味も兼ねた大花火大会をもってすべての日程が締めくくられます。
地区、学校、職場単位での参加者が中心であるため、コロナ禍の時期を除けば例年会場は多くの人出でかなり混雑してしまいます。そのため、迷子、交通規制、貴重品の管理など十分に注意しなくてはいけません。
交通規制について
14日の一斉踊りが始まる時間から、中心市街地の若桜街道、智頭街道、片原通りなどで一般車両が通行止めになります。
開催本部によって設置される駐車場は台数が限られています。周辺のコインパーキングを利用してください。
コンビニエンスストアの長時間駐車や路上駐車は周辺にお住まいの方の大きな迷惑です。絶対に避けるようにしてください。
鳥取市の夏を送る一大イベントで「傘の華」を鑑賞
鳥取市のお盆に開催される夏の一大イベント「鳥取しゃんしゃん祭」について解説していきました。コロナ禍によって数年の中断時期を経ても、長年鳥取市周辺の新興のために多くの人が関わり、意見を出し合い盛り上げてきたお祭りです。
創作踊りが取り入れられるようになってから、各地域の連や新しく結成された若手傘踊りチームなど個性豊かな振付を楽しめるようになっています。
小学生のお子さんが基本の振付を一生懸命踊っている所をみるとほほえましいですし、すずっこ踊りのようにダンスの要素を含めた力強い踊りなどは目に鮮やかで夏の夜にぴったりです。
ただ、2024年度開催日は数年ぶりの人出と混雑が予想されます。交通規制の範囲と時間帯を守って、規則正しくお祭りに参加しましょう。
交通規制についてはこちらを参考にしてください。